外出時に車を利用しない高齢者は、食料品店へのアクセスの悪さが死亡リスクとなる可能性があることが、東京医科歯科大などの研究チームの調査で分かった。新鮮な野菜や果物が手に入る食料品店が近所に少ない人の死亡リスクは、たくさんある人に比べて最大1.6倍となった。
研究チームでは、歩行や入浴などの際に介助を必要としない65歳以上の4万9511人を対象に、約3年間の追跡調査を実施。外出時、自分で車を運転したり、家族の車に同乗したりする場合を「車の利用あり」(2万9676人)、いずれも該当しない場合を「車の利用なし」(1万9835人)とし、自宅から1キロ以内の食料品店へのアクセスと死亡リスクとの関係性をそれぞれ分析した。
その結果、外出時に車を利用しない高齢者では、野菜や果物が買える商店・施設が近隣に「たくさんある」と回答した人に比べ、「ある程度ある」と回答した人の死亡リスクは1.4倍、「あまりない」「まったくない」と回答した人では1.6倍となり、いずれも統計的な有意差が見られた。
研究チームでは、「近隣に食料品店があることで、外出の機会や歩行時間が増え、死亡リスクの低下につながっている可能性が考えられた。高齢化に伴って車の利用は困難になるため、徒歩圏内で野菜や果物が手に入る店の存在が重要かもしれない」としている。