厚生労働省は3日、社会保障審議会介護給付費分科会の委員会で、今年春の介護報酬改定の影響を検証するための調査(以下、検証調査)のうち、今年度分の調査票などの案を示した。入退院時におけるケアマネジャーとの連携が強化されたことを踏まえ、同省では、病院と有床診療所に対して、連携の満足感や問題点などを尋ねる方針。同省によると、ケアマネとの連携について、検証調査で医療機関に尋ねるのは初めて。
検証調査は、2021年度に予定されている介護報酬改定の基礎資料となるもので、今年度から年1回、3年にわたって行われる。
今年度の調査テーマは、(1)介護保険制度におけるサービスの質の評価(2)介護ロボットの効果実証(3)居宅介護支援事業所やケアマネの業務などの実態(4)福祉用具貸与価格の適正化(5)介護医療院のサービス提供実態等(6)特別養護老人ホームの安全・衛生管理体制などのあり方(7)介護老人保健施設の安全・衛生管理体制などのあり方―の7項目。
今年度の調査票案などをめぐって議論した委員会
この日の委員会で厚労省は、この7項目のテーマに関する調査票案を提示。(3)については、居宅介護支援事業所と地域包括支援センターを調査する方向性が固まっていたが、同省側は、新たに医療機関も対象に加える方針を示した。
今年春の介護報酬改定では、「入院時情報連携加算」の要件が大きく変わった。特に同加算(I)では、ケアマネが医療機関に情報を提供するまでの期間が、「入院後7日以内」から「入院後3日以内」と短くなる一方、訪問のみだった提供方法の要件は廃止となり、電子メールなどによる情報提供も認められるようになった。
また、「退院・退所加算」では、ケアマネが退院時カンファレンスに参加した場合の報酬が引き上げとなり、入退院時におけるケアマネと医療機関の連携を促す内容となっている。
同省側は、入退院支援に力を入れる病院と有床診療所(16年度に退院支援加算1・2を届け出ていた医療機関)合わせて1500施設を対象に、ケアマネと連携する窓口や職種、入退院時の情報提供の現状、連携の満足感や問題点などについて調査する方針。同省では近く、介護給付費分科会を開き、調査票案について了承を得た後、月内に調査に着手したい考えだ。