平均寿命が全国トップレベルである長野県の長野市と松本市は、一般に65歳以上とされる「高齢者」の定義を75歳以上に見直すことを呼び掛ける共同提言を発表した。社会保障制度などの高齢者施策については、従来通りの定義を使用する。今年4月には、神奈川県大和市が「70歳代を高齢者と言わない都市やまと」宣言を行ったが、2つの自治体による取り組みは全国的にも珍しいという。
共同提言は、長野市の加藤久雄市長と松本市の菅谷昭市長の連名で行われた。長野市によると、今年5月、加藤市長が菅谷市長を訪問した際、高齢者の定義のことが話題となり、「市民の意識を変えるために一緒にやろう」との考えで一致。両市では、若手職員によるワーキンググループを立ち上げ、6-7月の4回にわたって話し合いを重ねた。
ワーキンググループでは、75歳以上の新たな名称について検討したが、「慣れ親しんだ『高齢者』に代わる名称を普及させることは難しい」などの理由で、最終的に高齢者の定義を見直す共同提言に至った。両市では今後、県や県内の他の市町村に賛同を呼び掛けるとともに、提言の趣旨に沿ったさまざまな活動を推進するとしている。