厚生労働省は、認知症の人の地域での生活を支えるため、認知症サポーターら支援者とのマッチングを進める方針を固めた。このほど公表した来年度の概算要求に「『オレンジリンク』(仮称)の構築」として盛り込んだ。また、外国人技能実習制度に「介護」が加わったことなどを踏まえ、外国人材が介護の現場で安心して働けるよう、相談援助のための仕組みを強化する方針も示した。
認知症の人を支える施策としては、介護従事者や医療関係者らで組織する認知症初期集中支援チームの活動支援などが実施されている。さらに厚労省では、認知症の当事者同士が支援し合う「ピア活動」や、既に約1000万人が認定された「認知症サポーター」と認知症の人をマッチングするなどの取り組みを「オレンジリンク」と位置付け、全国で展開する。
マッチングの対象者については、「公的な介護保険サービスを使わなくても、ちょっとした手助けで日常生活が続けられる認知症の人を主に想定している」(認知症施策推進室)という。
厚労省では、従来の施策の充実なども含め、認知症施策の総合的な取り組みに22億円の予算を要求した。
■外国人材への相談援助なども充実へ
また、厚労省は、外国人材への相談援助の充実や、外国人材を受け入れた事業所への指導の強化にも乗り出す。その実現に向け、来年度の概算要求では、「介護」が加わる見通しの在留資格に関しては10億円、「介護」が加わった外国人技能実習制度に関しては66億円を、それぞれ要求している。
■高齢者虐待防止の取り組み強化も
さら相談体制の整備など、高齢者虐待防止のための取り組みも強化する方針だ。今年度の当初予算では、この項目に9400万円が割り当てられていたが、来年度予算では1億5000万円を割くよう求めている。