新たに結核を発症する高齢者の増加を受け、厚生労働省は、デイサービス事業所などの利用者に対し、自治体が実施する定期検診の受診を呼び掛けている。同省の集計によると、昨年の新規患者数の7割超は60歳以上だという。
昨年新たに登録された結核患者は1万6789人で、前年に比べて836人減った。また、人口10万人当たりの罹患率は同年より0.6小さい13.3で、どちらも減少傾向にある。
結核菌は多くの場合、吸い込んでも体の抵抗力で外へ追い出される。菌が体内に残っていても、免疫の力で抑え込まれるため、発症しないケースがほとんどだという。
同省によると、新たに発症する高齢者は、結核が「国民病」だった時代に体内に潜伏した菌が、高齢化に伴う免疫力の低下によって活動を始めるケースが多いという。新規患者を年齢別で見ると、80歳代が4822人で最も多く、全体の28.7%を占める。また、90歳以上は11.3%に当たる1904人で、増加傾向が続いている。
感染症法は、特別養護老人ホームや軽費老人ホームの施設長に対して、入所者への定期検診の実施を求めている。一方、それ以外の施設や事業所については、主に市区町村が検診を担当しているが、受診率は低迷しているという。
同省側は、特にデイサービス事業所の利用者の受診を促したい考えで、都道府県などに協力を求める文書を3日付で出した。