特別養護老人ホーム(特養)の6割超が人材不足に陥り、このうち1割超が利用者の受け入れを制限していることが、独立行政法人福祉医療機構が行ったアンケート調査で分かった。受け入れを制限している特養では、平均11.1床のベッドの空きがあった。
調査は今年2月13日から3月11日、全国にある特養3304施設を対象にインターネット上で行われ、このうち628施設から有効回答を得た。施設形態は「個室ユニット型」(45.7%)、定員規模は「50人以上79人以下」(40.6%)が最も多かった。「介護職員処遇改善加算」は、報酬が最も高い「加算I」を算定する施設が全体の8割に上った。
■不足する職員数は平均3.79人
今年1月1日現在の職員の充足状況を調べたところ、「不足」が全体の64.3%を占めた。「不足」と回答した施設の1割超は、特養本体やユニットの一部、併設する事業所で利用者の受け入れを制限し、1施設当たり11.1床のベッドが空いていた。
不足している職員数は、「2人以上3人未満」(27.2%)が最も多く、全体の平均は3.79人だった。定員100人当たりの不足人数を見ると、受け入れ制限をしていない施設は5.22人だったのに対し、受け入れ制限をしている施設では8人を超えた。
また、不足している職種は「介護職員」が大多数を占め、2位の「看護職員」を大きく引き離した(複数回答)。さらに、不足していると感じる業務内容を複数回答で尋ねたところ、トップは「夜勤」(74.8%)で、以下は「入浴介助」(73.5%)、「食事介助」(66.3%)、「排泄介助」(54.2%)などと続いた。
■16年度の退職者数、「1-3人」が最多
2016年度の退職者数(定年退職者を除く)の実績は、「1-3人」が31.8%で最も多かった。退職の理由は、介護業界内での転職が全体の6割に上り、次いで職場の人間関係(42.5%)などと続いた(複数回答)。
さらに、今年春の新卒採用について、調査時点の内定者数を尋ねたところ、「内定者なし」が全体の過半数を占めた。1施設当たりの内定者数は1.12人で、2015年度の1.56人から減少傾向が続いている。