農林水産省は、高齢者の4人に1人は、食料品店やコンビニエンスストアなどに出向くのが難しい「食の買い物弱者」といえる状態にあるとする推計をまとめた。推計では、特に大都市圏で「食の買い物弱者」が急増している状況も示された。
農水省では、2015年の国勢調査や14年の商業統計の結果などを用いて、食料品の購入などに不便さを感じたり、苦労したりしている高齢者の数を推計。具体的には、65歳以上の人のうち、「食料品店やコンビニ、百貨店などの店舗から直線距離で500メートル以上離れた場所で生活している」と「自動車を利用できない」の条件を満たす人の数を推計した。
その結果、「食の買い物弱者」といえる高齢者は、全国の65歳以上の人口の24.6%に相当する約825万人となった。10年前(05年)の同じ調査結果と比較すると、21.6%増加していたという。特に東京・大阪・名古屋の三大都市圏では、10年前に比べて44.1%増加。中でも東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)では59.3%増となった。
■75歳以上では3人に1人が「食の買い物弱者」に
さらに農水省は、75歳以上の後期高齢者についても推計。その結果、全国の後期高齢者の33.2%に相当する約536万人が「食の買い物弱者」であることが示された。10年前の推計と比較すると、42.1%増加していたという。
後期高齢者でも、三大都市圏での増加が顕著で、10年前の推計と比較すると68.9%増えていた。東京圏の増加率は89.2%に達したという。