紙おむつの下水道での廃棄の実現に向け、国土交通省は、使用済みの紙おむつから汚物を分離・処理する機械の実証実験を年度内に行うと発表した。同省の「次世代住宅プロジェクト」として、パナソニック(大阪府門真市)の事業が採択された。同社では、今後開発する試作機を高齢者施設に設置し、介護者や利用者の負担軽減につながるかどうか検証する。その結果を踏まえて試作機を改良し、来年度から対象施設を広げる予定だ。
紙おむつは、水を吸い込むと重量が約4倍になるとされる。パナソニックが開発する試作機は、使用済みの紙おむつから汚物を分離するとともに、塩化カルシウムの力で紙おむつの高吸水性ポリマーの水分を抜き、重量を3分の1に減らす仕組み。処理後はにおいがなくなり、汚物は下水に流し、残った紙おむつはごみとして回収される。
実証実験は社会福祉法人サンライフ(名古屋市)と共同で行う。今年度は、同法人が持つ高齢者施設1カ所に試作機を設置し、次年度から対象施設を増やす。パナソニックでは、介護者や利用者にアンケート調査などを実施し、効果を確認するとしている。
国交省の有識者検討会が3月にまとめた工程表では、使用済み紙おむつの下水道での廃棄の実現に向け、想定される利用者やごみ出しの有無、下水道への影響などが異なる3つの処理方法について検討する方向性が示されている。
今回の実証実験は、機械で汚物を分離し、残った紙おむつをごみとして廃棄する「固形物分離タイプ」。同省では、技術的なハードルなどが低いタイプから検討し、最終的に、専用の分解装置で粉砕した紙おむつを下水道に流して廃棄できるかどうか、5年後をめどに結論を出すとしている。