9月29日〜10月1日の3日間、東京ビッグサイトにおいて国際福祉機器展2010(HCR2010)が開催された。中日(なかび)が雨の1日だったにもかかわらず、期間中は昨年の10万8,000人を上回る12万人の来場者があった。
介護保険に関連した展示に目を向けると、ここ数年の間に、筋トレなど介護予防関連の機器類を展示するブースが規模を縮小、また、大手企業の出展も縮小傾向にあり、景気の低迷が大きな売上の見込めない福祉機器部門にも影響していることがうかがえた。
歩行をアシストする介護ロボット「HAL」
襟付きのおしゃれな介護エプロンも
海外からの出展企業は15社ほどだが、今年はアジア系企業の進出も目に付いた。これまでの伝統ある北欧やドイツ製の車いすやリフト、移乗機器などに加え、ちょっと変わった製品について説明を求めると、責任者が中国人や韓国人というケースも少なくなかった。
また、「介護職による医療行為解禁」の流れを受けて、例年、HCRではあまり見かけないたんの吸引器を展示しているブースも複数見かけられ、業界の素早い対応にも驚かされた。
HCRは「毎年、これを楽しみに来ている」という専門職もいるほど、各種セミナーなどの特別企画も充実しているが、今年は特設会場での「福祉機器開発最前線」において、宇宙食や宇宙服などの展示が目を引いた。宇宙での生活環境が身体に与える影響が、高齢者や障害者のそれと似ていることがわかってきたことから、宇宙開発の技術が福祉に貢献する可能性を示したもので、「宇宙と福祉」というマッチングが新鮮だった。
DSを使った介護情報入力ソフト「すぐろくDS」
さらに、ニンテンドーDSやスマートフォン、今年発売されたばかりのiPadを使った現場での介護情報入力ソフトなど、IT機器の進化を取り入れ、介護職の負担を軽減する機器類なども、そのデモンストレーションに多くの人が見入っていた。