
入院加療後、自宅に戻られたときからお付き合いさせていただいている利用者さん。
フラフラになりながら、なんとかご自宅に退院されケアマネージャーとチームを組みながら、健康管理、リハビリをお手伝いしています。
退院後数か月で、外出できるようになり、交通機関を利用してチェロの教室に通えるまでになりました。娘さん、弟さんと、お父さんの回復を助けるため、お母さんの物忘れを防ぐために一緒に麻雀をするようになりました。
1年後、がんの再発。食事がのどを通らず、イライラしてしまい、ご家族とのトラブルも絶えない状況の中介護負担は実際のお手伝いの部分よりも、気持ちの部分で大きくなりました。
別居している弟さんは父を家で看たい。お父さんの希望だと思うし、かなえてやりたい。
実際看ているのは娘さん。お父さんと意見が合わずに以前から時々けんかしていました。
それでも、かわいそうと助けてきた。体の具合が悪くなることでの辛さから、どんどんお父さんの嫌いな部分が大きく露呈されるようになり、娘さんの忍耐力も限界です。
そんな中の別居で暮らす弟からの一言。
正論であり、お父さんの気持ちもよく理解できる娘さんは「看れない」といえずに苦しみました。
ご主人が娘さんに話しました。
僕は君のお父さんと結婚したわけじゃない。お父さんのことは僕も大事に思うし、こんなことは不謹慎かもしれない。君がお父さんを思う気持ちはよく分かる。
でも、そのことで、君の元気がなくなり、君が君らしくなるのは耐えられない。
僕が、弟と話す。
そして弟に言った一言。
お父さんを家で看たい。最期まで看よう。でも、それは君の家だ。
僕らはお母さんを一生懸命看る。だから、お父さんは君がみるんだ。
ご主人の決断と娘さんを思う気持ち。中々報道されないけれど介護生活の中で、ご家族の絆が深まることも少なくありません。
正解が存在しないのが介護。いかに負担を軽減しみんなが安心して安全に暮らせるかで、先の人生が変わります。




