親の介護経験のある正社員 働き方の変化を調査―明治安田生活福祉研究所ほか

明治安田生活福祉研究所とダイヤ高齢社会研究財団が共同で行った、親を介護したことのある全国の40歳以上の正社員2,268名を対象とした実態調査の結果が、11月11日、発表された。
対象となったのは男性1,545名、女性723名の計2,268名で、介護開始時に正社員であった人が、介護によりその後の働き方がどのように変わったかが調査された。

転職者・介護専念者の5割強が、介護開始から1年以内に離職
介護を理由に転職した人(転職者)あるいは介護を理由に離職した人(介護専念者)が、離職したタイミングとして最も多かったのは、男女問わず、介護開始から6ヶ月以内で、約3割であった。
また、介護開始から離職までの期間が「すぐ」「6ヶ月以下」「6ヶ月~1年以下」の人を合わせると、5割を超える人が1年以内に離職をしていることが明らかになった。
一方で、転職者・介護離職者とも、5年を超えてから離職した人も 10%程度おり、介護開始から離職までの平均年数はともに2~3年であった。

女性の介護専念者の3割近くが、親が介護認定を受けていない段階で離職
転職者・介護専念者が離職を決断したときの親の要介護度は、介護専念者の女性は、離職時点で「(親が)認定を受けていない」人が 27.1%であった。
これは、転職した男女、あるいは男性の介護専念者の16.1~16.7%と比べて明らかに高い数値であった。

男性の離職者では、介護専念者のほうが転職者より親の要介護度が高い
離職を決断したときの親の要介護度は、男性では、介護専念者の 44.2%が「要介護3・4・5」と回答しており、転職者より8.8ポイント多く、要介護度が高いことが分かりました。

正社員に転職できたのは、男性は3人に1人、女性は5人に1人
介護のために転職した人のうち、転職先でも正社員として働いている人は、男性は34.5%、女性は29.1%にとどまった。
正社員以外の働き方をしている人は、パート・アルバイトが男性で28.4%、女性で56.8%で、女性に特に多い。また、28.6%の男性は家業や起業を行っているようである。

転職後の平均年収が、男性で4割、女性で5割ダウン
転職前後の年収を比較すると、男性は転職前の556.6万円から転職後には341.9万円と約4割減、女性は転職前の350.2 万円から転職後には175.2万円とほぼ半減していることがわかった。

男性の継続就労者は、自分の配偶者と親の配偶者に主な介護の担い手を依存
離職せず、引き続き同じ職場に勤務している人(継続就労者)の男性では、自分が介護を主に担っている割合は15.0%で、31.8%は自分の配偶者、22.3%は親の配偶者が主な介護の担い手であった。
反対に、介護専念者の男性では、自分自身が主体になって介護しているケースが 54.1%と過半を占めている。

女性の継続就労者の4割が、自分が主な介護の担い手でありながら仕事と両立
継続就労者の女性の場合、自分自身が主体となって介護をしている人が約4割(38.4%)と最多で、次いで親の配偶者に介護を委ねている割合も約3割(31.0%)であった。
女性の継続就労者では、男性と比べ、親の配偶者のおかげで仕事を続けることができているケースが多いようである。

男性の継続就労者は、介護専念者より年収が 100 万円以上多い
介護開始時の平均年収額は、男性の継続就労者は 703.7 万円で、介護専念者の 595.2万円より100万円以上多かった。

男女とも介護専念者は、継続就労者より現金・預貯金残高が300万円程度多い
介護開始時の、世帯の現金・預貯金残高の平均額は、男性では継続就労者が971.0万円であるのに対し、介護専念者は1,244.8万円、女性ではそれぞれ969.8万円、1,294.7万円であった。男女とも、介護専念者が継続就労者を300万円程度上回っていた。

男性の継続就労者は、介護専念者と比較して配偶者・子どものいる人が多い
男性では、継続就労者で配偶者がいる人の割合は85.8%であったが、介護専念者は50.0%と、35.8ポイントの差があった。
また、継続就労者は子どものいる割合が75.3%で、介護専念者の43.4%と比較して 31.9ポイント高かった。

休暇の取りやすさは仕事と介護の両立を強く支える
介護生活に入る前の、継続就労者と介護専念者における働く環境についての質問では、「休暇が取りやすい」を肯定した人の割合は、男女とも継続就労者が介護専念者を大きく上回った。
特に男性ではこの傾向が顕著で、継続就労者が56.5%であるのに対し、介護専念者では29.1%と大きな開きがあった。

介護専念者の7割が、離職して介護に専念したことを後悔していない
介護するために自分が選んだ働き方について、介護専念者は、自分の選択を「良かった」と強く肯定した割合は、男性で28.4%、女性で32.9%であった。さらに「まあ良かった」を加えた肯定派は、男女とも約7割(男性 68.7%、女性 74.2%)にのぼり、継続就労者とほとんど変わらない結果であった。
一方、転職者の肯定派は男女合わせて60~64.5%であるが、相対的に比べると、介護専念者や継続就労者よりやや低かった。

◎明治安田生活福祉研究所
http://www.myilw.co.jp/

◎公益財団法人 ダイヤ高齢社会研究財団
http://www.dia.or.jp/

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