
高血圧は、日本人にとても多い病気です。高血圧と推定されるのは4000万人以上。3人に1人は高血圧ということになります。
年齢が上がるにつれて患者は増え、30代では10人に1人ですが60代以上では2人に1人に。周囲を見回すと、降圧剤を服用しているお年寄りは確かに多いですよね。
高血圧が怖いのは、ほとんど自覚症状がないこと。血圧が高い状態が続くと動脈硬化が進み、その結果、狭心症や心筋梗塞などの心疾患や、脳出血、脳梗塞などの脳血管性疾患を起こし、腎臓病を合併することも。高血圧改善は健康を維持するうえでとても大切です。
つい先日「高血圧治療ガイドライン」が改訂されました。変更点のポイントをご紹介しましょう。
ひとつは血圧測定による診断に関すること。長年、血圧測定法のスタンダードは診療室血圧、つまり医師や看護師から測ってもらう血圧で高血圧かどうかを診断していました。ところが、今回の改訂では診療室血圧と家庭血圧で診断が異なる場合は、家庭血圧での診断が優先されます。また原則として家庭で2回測定し、その平均値で診断することになります。家庭用血圧計を持っていない方、購入しておく必要がありそうですね。
また、これまで若年・中年の降圧目標は130/85mmHgでしたが、140/90mmHgに変更されました。前期高齢者は今まで通り140/90mmHg。合併症が多い後期高齢者は150/90mmHgを目指し、薬の副作用などに耐えられる場合は140/90mmHgを目指すとしています。降圧剤治療の第一選択薬の定義が変わったことも大きなポイントです。
気になるのは、若年・中年の降圧目標が緩和されたこと。これは、高血圧と診断されて130を目標にしてきた人が「これからは140あってもいい」ということでしょうか。ある医師に聞いたところ、140mmHg目標を適用するのは初診患者だけというのが、その医師の方針でした。緩和されたとはいえ油断は禁物ですよ。




