ヤンセンファーマ株式会社は、認知症検査の必要性を判断するスクリーニングツール「Me-CDT」(エム・イー・シー・ディー・ティー)を開発したと発表した。
認知症の疑いのある人のなかには、認知症専門医の受診や認知症検査に対して抵抗感を持つ人も多いと言われている。そこで、かかりつけ医による簡易なスクリーニングを実施することで、認知症の可能性がある人を次の検査へつなぐきっかけとする、というのが開発の意図。
「Me-CDT」は、専用のソフトウェアをパソコン上で再生し、被験者が画面と音声を確認しながら回答をペンで回答用紙に記入するテスト。CDT(Clock Drawing Test-時計描画テスト)、近時記憶、見当識の検査の合計6問を約3分で行う構成になっている。短時間で検査できるため、被験者に受け入れられやすく、またパソコン以外の特別な設備を必要とせず、実施する環境や人に結果が影響されることが少ないため、より身近なスクリーニングツールとなることが期待できるという。
「Me-CDT」の臨床上の有用性について約300例を対象に検証した結果、認知機能の評価尺度として広く用いられるMMSE(Mini-Mental State Examination)の結果と良好な相関が得られ、認知症検査の必要性を判断する指標になり得ることが示唆された。
開発に携わった木原武士氏(洛和会みささぎ病院)、頼高朝子氏(順天堂大学附属順天堂越谷病院)、宮澤仁朗氏(特定医療法人さっぽろ悠心の郷ときわ病院)は、「今回開発された『Me-CDT』をかかりつけ医などの地域の医療機関で使用してもらうことで、認知症の早期発見と診断につながることを期待している」と述べている。
「Me-CDT」の検査キットは、要望のある医療機関へ順次提供する予定。
【Me-CDTの概要】
■方法:パソコンの画面の設問と音声を聞きながら、回答用紙にペンで記入する
■設問:
冒頭に時刻を画像と音声で提示し,後に確認するために記憶することを被検者に繰り返し求め、その後に
(1)「氏名」(2)「日付」(3)「今何階にいるか」(4)「最近気になったニュースはなにか」(5)「冒頭に提示した時間は何時か」(6)「時計の文字盤と(5)の時刻(10時10分)の針描写」の合計6問が出題される
※(2)~(4)は「見当識」、(5)は「記憶力」、コンピューターの音声出題は「言語的能力」、時刻の針描写は「図形的能力」)
■所要時間:約3分
■対象とならない人:聴覚障害または視覚障害を持った人
■診断:回答にポイントを付加し、判断を行う
◎ヤンセンファーマ株式会社
http://www.janssen.co.jp/