厚生労働省は、9月5日、専門家のチームが早期の診断や支援を行い、認知症になっても地域で暮らし続けられることを目指した「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」を発表した。
厚生労働省の推計によると、介護を必要とする認知症の高齢者の数は、今年の段階で305万人と10年前の2倍以上になっている。しかも、2017年には373万人、2020年には400万人を超え、団塊の世代が75歳を迎える2025年には470万人と、10年前の予想を大幅に上回る増加が見込まれる。これらを受けて今回の計画が打ち出され、早々に来年度から実施する運びとなった。主な計画は以下の通り。
1)早期診断を行う医療機関
2017年までに認知症の早期診断を行える全国の医療機関を、約500カ所まで増やす。
2)かかりつけ医の認知症対応研修
認知症の早期診断・対応を進めるため、かかりつけ医の「認知症対応力向上研修」の受講者数を35,000人から50,000人にまで増加。
3)認知症サポート医
かかりつけ医への助言や、全国の市区町村にある地域包括支援センターなどとの連携を推進する「認知症サポート医」を2,500人から4,000人にする。
4)初期集中支援チーム
2013年度から全国約10カ所で、看護師や作業療法士が家庭訪問を行ったり、家族の支援を行う「認知症初期集中支援チーム」のモデル事業を実施。2015年度以降に状況を検証した上で、制度化を検討する。
5)地域での生活を支える介護サービスの構築
認知症の人が可能な限り住み慣れた地域で生活を続けていくために、必要な介護サービスの施設数を増やすなど、整備を進める。
6)地域での日常生活・家族の支援の強化
2017年までに、認知症患者や家族を見守る「認知症サポーター」を累計で、350万人から600万人まで増やす。その他、認知症地域推進支援員の配置、市民後見人の育成、認知症の人やその家族等に対する支援(「認知症カフェ」の普及など)の推進。
7)若年認知症施策の強化
ハンドブックを作成する。2017年までに若年性認知症の人の意見交換会開催等の事業を17都道府県から47都道府県に増やす。
8)医療・介護サービスを担う人材の育成
「認知症ライフサポートモデル」を策定する。2017年までに「認知症介護実践リーダー研修」の受講者数を2.6万人から4万人まで増やす。同じく、「認知症介護指導者養成研修」の受講者数を1,600人から2,200人まで増やす。
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