株式会社日本医療企画より刊行の『すぐに役立つ 経口補水療法ハンドブック――脱水症状を改善する「飲む点滴」の活用法』が、話題になっている。
「経口補水療法」とは、点滴を行なわず、経口補水液を用いて脱水症を改善する治療法。この療法にいち早く取り組んできた神奈川県立保健福祉大学保険福祉学部栄養学科教授・谷口英喜氏による本書は、記録的な猛暑となった2010年8月に発行され、医療・介護関係者の大きな関心を集めた。2011年6月には増刷もされ、節電が続き、熱中症による脱水症状が心配される今夏、経口補水療法の手引き書として重宝されることは間違いない。
経口補水液(ORS)とは、脱水症で体から失われた体液を経口的に補う飲料のこと。点滴のように高価な輸液を使用せず、食品としての“経口補水”で治療できるので、負担軽減・コスト削減にもつながるという。本書では、脱水症や経口補水療法の基本知識をわかりやすく解説するほか、臨床現場や災害医療、スポーツシーンなどでの具体的な活用方法を紹介。図表を多用し、「ポイント解説」「一口メモ」「用語解説」など、一般読者にも理解しやすい構成・記述となっているのも特徴だ。
手軽に持ち歩けるコンパクトなA5サイズで、独立して使える「脱水症チェックシート」と「経口補水液等の成分表/経口補水療法実施者の心得」カードなど、実践的な使用を想定したつくりとなっている。脱水症で重篤な事態に陥りやすい高齢者の健康管理に携わる人に、ぜひ一読をおすすめしたい。
【目次】
第1章 経口補水療法とは?
経口補水療法とは“飲む点滴”、経口補水療法は“開発途上国から生まれた治療法” 他
第2章 脱水症を理解しよう
小児と高齢者は脱水症になりやすい、熱中症の症状と対応、見て触ってわかる脱水症の早期診断方法 他
第3章 経口補水療法を理解しよう
砂糖と塩が水を運ぶ、その割合が重要、脱水症の時にお水やスポーツ飲料を摂ると? 他
第4章 経口補水療法の活用方法
臨床現場における活用方法、災害医療、スポーツ、産業医療、旅行医学 他
■書名 『すぐに役立つ 経口補水療法ハンドブック――脱水症状を改善する「飲む点滴」の活用法』
■著者 谷口英喜
■定価 2000円+税
■体裁:A5判 144頁
■発行 株式会社日本医療企画
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