春の診療報酬改定、ケアマネへの影響大 病院との連携強化を

今月1日、診療報酬が改定された。2年後に介護報酬との同時改定を控えるだけに、「小幅な見直し」になるかと思われたが、病院経営に大きなインパクトを与える内容となった。「医療機関は、居宅のケアマネジャーとの連携をより求められるようになりました」。医療介護のコンサルティングを手掛ける「リンクアップラボ」(福岡市)の酒井麻由美代表はこう話す。今回の診療報酬改定は、ケアマネにとってどんな意味を持つのか―。酒井代表に聞いた。【取材・構成=敦賀陽平】

■入退院支援の情報共有、ビデオ通話可に

今回の診療報酬改定は、急性期病院の「平均在院日数のさらなる短縮」と「在宅復帰機能の強化」が大きなポイントです。特に、症状が急激に悪化した在宅患者を受け入れる「サブアキュート」の機能が強化されています。これは、「時々入院、ほぼ在宅」という地域包括ケアシステムの理念の実現に向け、国が同時改定の前に先手を打ったといえるでしょう。

ケアマネの皆さんに注目していただきたいのが、「入退院支援加算1」の見直しです。「入退院支援加算1」は、退院が困難になりそうな患者を入院時に把握し、課題の解決に向けて退院計画を作成するとともに、他の医療機関や介護福祉関係者との連携を促し、在院日数の短縮につなげようというもので、厚生労働省によると、2019年7月1日時点で約2000の医療機関が届け出ています。

今回、この「入退院支援加算1」の報酬がアップする一方で、届け出のための施設基準が厳しくなりました。

施設基準の中には、他の医療機関や居宅サービス事業者といった「連携機関」との関係を構築するため、入退院支援室の職員が年3回以上、情報共有などを行うことが定められています。この「連携機関」の要件が「20以上」から「25以上」に増えるとともに、ビデオ通話による面会も認められるようになりました。この「連携機関」にはもちろん、居宅介護支援事業所も含まれています。

厚労省は昨年秋、「連携機関」の数が中央値以上の医療機関の方が、在院日数が短い傾向にあるとする資料を出しています。「連携機関」の要件の見直しで、在宅医療介護関係者などとの連携を強化させ、平均在院日数をさらに短くさせたい同省の狙いが見えてきます。

在院日数が長期化する背景には、病院の地域連携室のソーシャルワーカーの多忙さがあります。家族への説明が遅くなり、介護保険の申請が間に合わず、介護サービスの利用が遅れてしまった結果、入院が長引くケースもあります。そんな時、ケアマネにお願いして、例えば、代わりにご家族に説明しに行ってもらえば、ソーシャルワーカーの負担が減るだけでなく、早期の退院にもつながりますし、ケアマネにとっては、新たな利用者の確保にもつながります。

今回、ビデオ通話による面会が認められたことも重要なポイントです。コロナ禍でオンライン会議が定着しつつある中、「連携機関」の情報共有などがさらに進むことが期待されます。

医療機関と日頃から協力関係を築いておくことは、居宅介護支援事業所の経営にも好影響を及ぼします。病院の地域連携室に知り合いがいるのであれば、「何かあったら私に連絡してください」と頼んでおきましょう。利用者の病状が急激に悪化し、入院が必要になった場合、すぐにメールで情報を提供すれば、「入院時情報連携加算(I)」の算定にもつながります。

■「退院・退所加算」、カンファ有りの算定進む?

今回の診療報酬改定では、ビデオ通話に関する要件の緩和がいくつか盛り込まれています。ケアマネの皆さんに特に注目していただきたいのが、「退院時共同指導料2」の「注3」です。これは、「退院・退所加算」の対象となる退院前カンファレンスに当たります。

ビデオ通話による退院前カンファレンスは、2020年度の診療報酬改定から認められていましたが、参加者全員が入院先の医療機関に集まることが原則で、このうち2人以上は医療機関を訪れる必要がありました。今回の見直しに伴い、この人数制限が撤廃され、参加者全員のビデオ通話も可能となりました。

「退院・退所加算」では、ビデオ通話のカンファレンスによる算定が既に認められています。今回、「注3」の人数制限が撤廃されたことで、居宅介護支援事業所は、「退院・退所加算」のカンファレンス有りの報酬を算定しやすくなったといえます=図=。


CMO編集部作成

■オンライン受診支援で「一歩リードを」

今回の診療報酬改定では、初診のオンライン診療が認められたほか、在宅の医学管理については、訪問診療とオンライン診療の組み合わせで算定できる報酬が新設されました。

今後、在宅でのオンライン診療が増えることも予想されますが、その際に必要となるのが、接続などのサポートです。特に一人暮らしの高齢者への支援は不可欠となります。ひょっとしたら、「オンライン受診同行」の協力を求められることもあるかもしれません。そんな時、「忙しいからやらない」ではなく、“やるケアマネ”になっていただきたいですし、それがひいては、クリニックの先生の信頼を勝ち取ることにもつながるでしょう。

介護報酬には、ケアマネの通院同行の取り組みを評価する「通院時情報連携加算」があります。利用者の診察に同席するという点においては、病院の外来も訪問診療も同じなので、次の改定で「オンライン受診同行」に報酬がつく可能性もあります。同時改定に先駆けてサポートすることで、他のケアマネを一歩リードし、より良いケアプランの作成につなげていただきたいと思います。


取材に応じた酒井代表

酒井麻由美(さかい・まゆみ)
株式会社リンクアップラボ代表取締役。急性期病院の医事課、医療介護専門コンサルティング会社を経て、2018年12月にリンクアップラボ設立。医師会や病院団体、社会福祉協議会などで年間80件以上の研修・セミナーの講師を務めるほか、「月刊保険診療」(医学通信社)や「デイの経営と運営」(QOLサービス)など、医療介護経営雑誌で執筆多数。日本医業経営コンサルタント協会の認定コンサルタント(運営)。

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