昨年夏以降、主治医意見書の「医師氏名」は、医師本人の署名以外認められなくなった。だが、医療機関から代筆やゴム印などによる「記名」の継続を求める声があることから、厚生労働省は運用ルールを一部変更し、医師本人の署名がない場合でも、保険者が主治医意見書を受理することを容認する考えを示した。
同省は昨年8月、「主治医意見書記入の手引き」を一部改正し、主治医意見書の「医師氏名」については、「氏名にもゴム印等を用いる場合は、押印してください」とする文言を削除。「記名」と「押印」による運用を取りやめ、「医師本人による自署」に一本化した。押印を廃止するデジタル化の取り組みの一環だった。
だが、医療機関からは、手引きの改正後も「記名」を認めるよう求める声があり、保険者から同省への問い合わせが多数寄せられていた。
こうした事態を受け、同省はこのほど、都道府県の担当者らに対して、「医師本人の自署がない主治医意見書についても、受理して差し支えない」とする見解を示した。手引きの改正前の「記名」を容認した形だが、「押印」については、デジタル化を進めている現状を踏まえ、「やむを得ない場合」に限るとした。