厚生労働省は12日、10月の臨時の介護報酬改定で、処遇改善のために新たな加算を創設することを提案した。同日の社会保障審議会介護給付費分科会で案を示した。案では、新たな加算の要件を2月から始まる「介護職員処遇改善支援補助金」(補助金)と同じ内容にするとしており、10月以降の賃上げでも居宅介護支援事業所のケアマネジャー(居宅ケアマネ)は、「蚊帳の外」となる公算が大きくなった。
厚労省が示した新たな加算の要件は、次の通り。
1.「介護職員処遇改善加算」の「I」「II」「Ⅲ」のいずれかを取得している
2.補助金の賃上げ効果を継続するため、新たな加算で得られた収入の3分の2は介護職員等の「基本給」または「決まって毎月支払われる手当」などの引き上げに使用する
なお、加算に伴う賃上げの対象は介護職員だが、事業所の判断で他の職員の処遇改善に充てることもできるとしている。
要件も運用ルールも、補助金と同じ内容だ。そして「介護職員処遇改善加算」の算定が要件となっていることから、厚労省の提案が実現した場合、居宅ケアマネは新たな加算の対象から外れることになる。
新たな加算の要件や運用ルールを補助金と同じ内容とした理由について厚労省は、いずれも同じ政策目的の下での対応であることや、異なる要件を設定した場合、追加の事務負担が発生する恐れもあることなどを挙げている。