今年10月、岸田文雄内閣が発足した。首相が自ら旗振り役なって推し進めたのが、看護、介護、保育などの現場で働く人の収入増だ。岸田首相はその実現のために、公的価格を抜本的に見直す方針を標榜。11月には「公的価格評価検討委員会」を設置した。
そして11月には、介護職らの収入を来年2月から月額3%程度(9000円)引き上げることも盛り込んだ、新たな経済対策を閣議決定した。
この段階では、居宅介護支援事業所のケアマネジャーや訪問看護ステーションの看護師、あるいは福祉用具専門相談員や介護事業所の事務職員らが賃上げの対象になるかどうかは不透明な状況だった。
そのため、介護業界からは介護職員だけでなく居宅介護支援事業所のケアマネらも賃上げの対象に加えることを求める声が相次いで上がった。
■来年2月の賃上げ、施設ケアマネは対象となる可能性
しかし、今年度の補正予算が確定した段階で、居宅介護支援事業所のケアマネは、来年2月から9月の賃上げ(介護職員処遇改善支援補助金)の対象から外れることが決まった。一方、施設で働くケアマネは、事業者の判断によっては賃上げの対象となる。
介護職員処遇改善支援補助金は来年9月までの一時的な交付金だ。この交付金で実現した賃上げを維持するため、来年10月以降、なんらかの処遇改善策を介護報酬に盛り込む方針も固まった。ただし居宅介護支援事業所のケアマネは、来年10月の処遇改善策でも、対象外となる見通しだ。