居宅介護支援事業所の減少が止まらない。今年4月時点の事業所の数は、前年より556事業所少ない3万8318事業所で、3年連続で減少した。ピークだった2018年と比べると、1747事業所減となっている。国はこれまで、大規模な事業所を介護報酬上で優遇しており、これに管理者要件の変更(27年3月末までは経過措置期間)が加わったことで、閉鎖に追い込まれる事業所も出ている。
■島根は3年で1割減
今年の事業所数を都道府県別で見ると、トップは大阪の3626事業所で、次いで東京(3280事業所)、神奈川(2222事業所)、埼玉(1795事業所)、千葉(1779事業所)などと続く。
18年と比較すると、東京は268事業所減で、マイナス幅が最も大きい。以下は神奈川(110事業所減)、福岡(92事業所減)、千葉(91事業所減)、大阪(71事業所減)などの順で、東京が突出して減っていることがわかる。香川は唯一プラスだったが、2事業所増とほぼ横ばいだ。
ただ、これを増減率で見ると、順位は大きく入れ替わる。最も低かったのが島根(10.9%減)で、マイナス1割台に達しているのは、全国でここだけだ。以下は、山梨(9.4%減)、鳥取(9.2%減)、長野(7.8%減)、東京(7.6%減)などとなっている=グラフ=。
■利用者は逆に増えている
利用者の数はどう変化しているのだろうか。厚生労働省の「介護給付費等実態統計」には、介護サービスの年間実受給者数が載っている。転居などで被保険者番号が変わった場合、受給者数を「2人」と数えているが、大まかな利用者の数はこれでわかる。
居宅介護支援の実受給者数は、20年度は367万4400人で、前年度から3万3600人増えている。17年度から14万2400人の増加だ。つまり、事業所数がピークだった頃と比べても、利用者の数は減っていない。
今年の事業所数の減少幅が大きかった上位5都府県について、17年度からの実受給者数の増減率を見ると、東京は4.6%増、神奈川は7.5%増、千葉は8.2%増、福岡は3.5%増、大阪は7.0%増で、いずれも利用者の数は増えている。
一方、事業所の増減率の下位5都県を見ると、島根は3.1%減、山梨は2.9%増、鳥取は2.8%減、長野は0.9%減、東京は4.6%増と、増加と減少が入り混じる結果となった=グラフ=。
■“統廃合”が進んでいる?
「令和2年度介護事業経営実態調査」では、居宅介護支援の平均収支差率のみが赤字だったが、1事業所当たりの実利用者数が150人を超えると、収支は黒字に変わった。特定事業所加算を算定できる規模の事業所が報酬上で優遇される中、事業所の“統廃合”が進んでいるとの見方もできる。
この春の介護報酬改定では、小規模の事業所に配慮する特定事業所加算(A)が新設されたが、これが“特効薬”になるかどうかは不透明だ。