全国介護事業者連盟は12日、介護職の賃上げに関する要望書を内閣総理大臣補佐官や厚生労働省老健局長に提出した。「新しい資本主義実現会議」や「公的価格評価検討委員会」が発足し、賃上げに向けた具体的な議論が始まったことを踏まえた要望で、居宅介護支援事業所も賃上げの対象とすることを求めている。また現在ある「介護職員処遇改善加算」(処遇改善加算)と「介護職員等特定処遇改善加算」(特定処遇改善加算)の統合や、賃上げの財源確保のため被保険者年齢を引き下げることも提案した。
■処遇改善加算と特定処遇改善加算の統合も提案
要望書では、公的価格の見直しに伴う賃上げを一時的な措置に終わらせないためにも財源確保が重要であるとし、40歳以上となっている介護保険の被保険者年齢を30歳以上まで引き下げることを提案している。
「処遇改善加算」と「特定処遇改善加算」は、介護事業者にとって大変重要な存在である一方、課題も山積していると指摘。この二つの加算が存在することで現場の事務負担も増しているなどとし、「処遇改善加算」と「特定処遇改善加算」の統合を提案した。その上で今後、検討される新しい処遇改善策については、現場の業務負担が過度に増大しない制度設計をするよう求めている。
また、「特定処遇改善加算」などでは職員間の分配についても細かな取り決めがあるが、こうした取り決めが「介護事業者の経営の独自性に影響を及ぼす」とし、加算における介護事業者の裁量権の拡大を提案した。
さらに、介護の賃上げの対象に居宅介護支援事業所を加えることや、介護の賃上げを具体的に検討する際には、過度なローカルルールが生じないよう制度設計に配慮することも要望している。