今年春の介護報酬改定に伴い、デイサービスなどに新設された「入浴介助加算(II)」。自宅での入浴の自立促進を目的とした新加算だが、実際に算定している事業所は1割程度にとどまっているとする調査結果を全国老人福祉施設協議会(老施協)が示した。ケアマネや家族への説明の難しさなどが背景にあるとみられる。また、LIFE(Long-term care Information system For Evidence)へのデータ提出などを要件とする「科学的介護推進体制加算」を算定する事業所はデイサービスでは4割程度、特別養護老人ホーム(特養)では半分程度であるとする結果も示された。
老施協では8月23日から31日にかけて、デイサービスや特養などでの加算算定の状況を調査。デイサービスでは1564事業所、特養では2252施設から回答を得た。
入浴介助加算について尋ねた質問では、新区分である「II」を算定している事業所は10.1%にとどまった。一方、従来と加算の要件が変わらない「I」については、88.2%が算定していた。
「II」の算定については、次のような声が寄せられたという。
「要件自体ケアマネや家族に説明しにくいものとなっており、算定することは困難」
「個浴ではないことや施設設備や自宅の浴室環境の整備から加算Ⅱの算定が難しい」
「算定要件が難しく分かりにくい」
「自宅での入浴が困難な利用者に対しては、算定は難しい」
■科学的介護推進加算、デイでは4割、特養は半分が算定
LIFEへのデータ提出とフィードバック情報の活用を算定要件とする「科学的介護推進体制加算」の算定率はデイサービスでは41.1%、特養では49.5%だった。
この加算については、次のような声が寄せられたという。
「データ入力や記録が大変で、事務負担も大きく時間を要する」
「情報を入力する職員がおらず、算定が難しい」
「データ入力などのため時間外勤務での対応や残業時間が増加している」
「フィードバックの内容が個々に対応しておらず疑問や不安がある」