厚生労働省は、10月から開始するケアプランの新たな検証・点検の仕組みの具体案をまとめた。
居宅介護支援事業所のサービス費の総額が区分支給限度基準額の7割以上で、その総額の6割以上を訪問介護が占める場合、事業所は保険者の要請に応じて、ケアプランの届け出などを行う必要がある=図=。同省によると、昨年10月時点で全国の事業所のおよそ3%に当たる約1200事業所が該当する見込み。
■該当したから「悪いケアプランではない」
同省は28日に開いた社会保障審議会介護給付費分科会で具体案について報告。これに対して委員からは、訪問介護の利用抑制につながらないよう、保険者に周知する際などに配慮するよう求める声が上がった。
日本慢性期医療協会の田中志子常任理事は、「地域の実情に応じて、他のサービスが乏しかったり、代替のサービスがなかったり、あるいは、利用者本人の希望などでそうなってしまう場合もある。抽出された事業所が『悪い事業所なのだ』というような誤解を保険者に与えないよう、サービス選択の阻害要因にならないようなコメントを付記していただきたい」と述べた。
また、公益社団法人「認知症の人と家族の会」の鎌田松代理事は、「このケアプランの検証は、事業所単位とされているが、現場のケアマネや私たち介護家族、利用者に趣旨が伝わっていない。サービスの利用を締め付けているように受け止めている」と主張し、検証の趣旨の周知を徹底するよう求めた。
さらに、日本介護支援専門員協会の濱田和則副会長は、「認知症などで自立支援のための見守りや排せつ介助が必要な場合、早朝や夜間、深夜にサービスの提供が必要となる。日中とは異なり、通所などの代替サービスを見つけづらく、早朝、夜間、深夜加算などで、(訪問介護の)利用割合が上昇しやすい傾向にある。利用者の状態像も考慮しながら、検証を行っていただきたい」と要望した。
老健局認知症施策・地域介護推進課の笹子宗一郎課長は、「この基準に該当したからといって、『悪いケアプラン』ということでは全くない。該当したものについて、より利用者の意向、状態像に合った訪問介護が提供できる可能性がないかどうか、多職種で検証していただくためのものだ」と説明。その上で「市町村の皆様方や現場の皆様方の業務負担が増大しないように留意しながら、趣旨も含めて、施行までの間にきちんと周知してまいりたい」と述べた。
同省は来月18日まで、今回の具体案に関する意見を募集している。詳細は、総務省が運営する「e-Govパブリック・コメント」のホームページへ。