地域包括ケアシステムを実現する上で、重要なサービスと位置付けられる定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間訪問サービス)。2012年4月の創設以来、国はその普及に努めてきたが、介護保険制度の要と位置付けられているケアマネジャーにも、その存在が十分に周知されていないことをうかがわせるデータが国の調査で示された。24時間訪問サービスが存在する自治体のケアマネであっても、4人に1人はサービスの内容をよく知らなかったという。
24時間訪問サービスに関するケアマネの意識を調べたのは、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護の普及促進に関する調査研究」。昨年度、国の委託をうけ、エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所が実施した。
調査では、昨年10月から11月にかけて、全国の居宅介護支援事業所のうち、24時間訪問サービスがある市区町村の居宅介護支援事業者1000カ所を無作為に抽出。同事業所と、そこで働くケアマネにアンケートを実施し、372カ所の事業所と822人のケアマネから有効回答を得た。
ケアマネに24時間訪問サービスを知っているかどうかや、サービスを使っている人を担当したことがあるかどうかを尋ねたところ、「サービス名自体を知らない」が2.7%、「サービス名は知っているが、どのようなサービス(制度)かはあまり知らない」(22.5%)となり、よく知らないと答えた人が25.2%に達した。「どのようなサービス(制度)かは具体的に知っているが、実際にサービス利用者を担当したことはない」は39.3%、「どのようなサービス(制度)かを具体的に知っており、実際にサービス利用者を担当したことがある」は35.5%だった。=グラフ1=
また、担当する利用者の中で、どのくらいの人が24時間サービスを知っているかを尋ねた質問では、約7割のケアマネは「知っている人は全くいなかった」と答えた。
利用者はもちろん、ケアマネの間でも、24時間訪問サービスは十分に周知されているとはいいがたい状況であることが数字で裏付けられたといえる。
■勧めても利用拒否…最大の理由は「負担増」
また、実際に24時間訪問サービスの利用を勧めたことがあるケアマネに、利用を拒否されるおおよその割合を尋ねたところ、最も多かった答えは「7割以上」の32.5%。次いで次いで多かったのは「1~3割程度」(27.1%)だった。=グラフ2=
サービス利用を拒否する理由(複数回答)については、「負担額が増える」(44.4%)や「限度額の制約で必要な他のサービスの併用ができなくなる」(41.0%)、「すでに利用していた訪問介護や訪問看護のサービスの利用を継続したい」(38.9%)などが多かった。