2021年度の介護報酬改定では, ケアプランなどの同意を得る場合、必ずしも捺印は必要ないことが明確化された。しかし、改定以前であっても「ケアプランには必ず同意の捺印が必要」とされていたわけではない。それでも、多くのケアマネが捺印にこだわらざるを得なかった背景には、利用者と行政の対応があった―。そんな現場の実情がうかがい知れる調査結果が示された。
「居宅介護支援における業務負担等に関する調査研究事業」では、居宅介護支援事業所を対象に、捺印取得の負担に関するアンケート調査(複数回答)を実施した。
■半数近くの事業所「指導などで捺印も求められた」
その結果、最も多くの事業所が負担と答えたのは「利用者・家族が印鑑を適切に管理できていない(手元に見当たらない)ため、捺印できなかった」(55.4%)。次いで多かったのは、「法的には署名があればよいが、指導等で捺印も求められた」の46.7%だった。
■電子署名、懸念は「利用者にとっての対応の難しさ」
また、電子署名にした場合の懸念について複数回答で尋ねた質問で、最も多かったのは「利用者、家族にとって対応が難しい」(66.3%)。「セキュリティ(ネット回線、サーバー接続等)面での不安がある」と答えた事業所は約半数(51.5%)、「原本性が担保できない」と答えた事業所は26.5%あった。
懸念がないと答えた事業所は13.4%にとどまった。
厚生労働省は、ケアプランや重要事項説明書などでの「脱はんこ」を加速させるため、押印欄を削除した様式例を示している。