三菱総合研究所は、利用者や家族らによる介護現場でのハラスメントの事例集を作成し、公表した。現場に即した対策の立案や研修の実施を目指し、ハラスメントの発生から経緯、対応までを具体的に紹介したもので、利用者家族からケアマネジャーへのハラスメントの実例と具体的な対応も盛り込まれている。
事例集では、ハラスメントを「身体的暴力」(コップを投げつけるなど、力を使って危害を及ぼす行為)と、「精神的暴力」(怒鳴ったり、特定の人に嫌がらせをしたりする行為)、「セクシュアルハラスメント」(性的ないやがらせ)などに大別。一方、料金の滞納や認知症などに伴う言動などについてはハラスメントに該当しないとした。
その上で、14の事例について、その背景や発生の経緯、対応までの流れを紹介した。それぞれの事例には、実際に対応した管理者・担当者らの気付きや、事例から得られる具体的な対応・対策をまとめた学びのポイントも記載されている。
ケアマネについては、利用者の子どもがケアプランに納得できず、脅迫めいたメールを送り付けるようになった事例と、利用者の子どもの怒鳴り声や対応に恐怖を感じたケアマネが地域包括支援センターの職員とともに対応に乗り出した事例が紹介されている。
事例集は、2020年度に厚生労働省の老人保健健康増進等事業として実施された「介護現場におけるハラスメントへの対応に関する調査研究」の取り組みの一環として取りまとめられた。