来月1日の介護報酬改定に伴う運営基準の改正で、厚生労働省は全サービスの事業主に対して、利用者やその家族から受けたものを含む、職場でのハラスメント対策の実施を求める。
このほど公表された運営基準の解釈通知案では、事業主が講じる具体策として、ハラスメントの対象やそれを禁止することを職場の方針として定め、従業員に知らせておくことや、相談や苦情に応じる担当者を決めておくなど、専用の窓口を設置し、それを周知することが盛り込まれた。
同省は、介護現場では特に、利用者やその家族からのハラスメント防止策を講じることが求められているとして、同省が策定した「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」や「(管理職・職員向け)研修のための手引き」などを参考に取り組むことが望ましいとした。
男女雇用機会均等法は、全ての事業主に対して、セクハラ防止策の実施を義務付けているが、解釈通知案では、「セクシュアルハラスメントについては、上司や同僚に限らず、利用者やその家族等から受けるものも含まれることに留意すること」と明記された。
一方、パワハラ対策の実施については、大企業のみが対象で、職員数300人以下などの中小企業は、来年4月1日から義務化される。それまでは努力義務となるが、同省は「適切な勤務体制の確保等の観点から、必要な措置を講じるよう努められたい」と求めた。