厚生労働省は12日、2021年度の介護報酬改定の影響などを把握するための調査案を社会保障審議会介護給付費分科会の介護報酬改定検証・研究委員会に示した。4月から本格的な運用が始まる介護保険の新たなデータベース「LIFE」(※注)をテーマとした案には、居宅介護支援での活用を見据えた内容も盛り込まれている。
厚労省は、昨年12月に取りまとめられた介護給付費分科会の審議報告を踏まえ、21年度に実施する調査案として、次の4つのテーマを示した。
(1) 介護医療院におけるサービス提供実態
(2)「LIFE」 を活用した取組状況の把握と訪問系サービスや居宅介護支援事業所での「LIFE」 の活用可能性の検証
(3) 文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減
(4) 福祉用具貸与価格の適正化
このうち(2)では、居宅介護支援などでの「LIFE」の活用に向け、その課題を探るための調査を実施。また、「LIFE」に関する加算が設けられるデイサービスなどでは、加算の算定状況や「LIFE」からフィードバックされたデータの活用状況などを把握する予定だ。
厚労省が示した調査案に対し、強い反対意見は出なかった。 今後、厚労省は、委員会で出た意見を基に調査案を修正した上で、介護給付費分科会で議論し、より具体的な調査内容を決定する方針だ。
(※注)「科学的介護情報システム」(Long-term care Information system For Evidence)の略称。既存のデータベース(「CHASE」と「VISIT」)を統合したもので、4月から本格的な運用が始まる。4月の介護報酬改定では、「LIFE」 へのデータ提出と活用を図るため、特養や老健、特定施設、グループホーム、デイサービス、小規模多機能型居宅介護など多くのサービスに加算が設けられる。一方、居宅介護支援や訪問系サービスは、その対象となっていない。