来月1日の介護報酬改定で新設される特定事業所加算(A)について、日本介護支援専門員協会の柴口里則会長は1日の記者会見で、「やはり1人のケアマネさんも救っていかなければならないので、その辺が今回出たと思っている」との認識を示した。
同加算(A)は、常勤のケアマネジャーの配置要件が「常勤のケアマネ1人以上」「非常勤のケアマネ1人以上」で、非常勤のケアマネは他事業所との兼務も可能だ。また、24時間の連絡体制の確保といった4つの要件についても、他事業所との連携が認められており、小規模事業所の算定を促す内容と言える。
ただ、居宅介護支援の平均収支差率のみが赤字だった「令和2年度介護事業経営実態調査」を見ても、1事業所当たりの実利用者数が150人を超えなければ、居宅介護支援事業所は黒字にならず、国はこれまで、特定事業所加算を算定できる規模の事業所を事実上優遇してきた。
同加算(A)の新設は、これまでの流れに逆行しているとの見方もできるが、会見で濱田和則副会長は、「今回、緩和されたというのがやはりあるので、逆行するということはないと、私は思っている」との認識を示した。その上で、「(24時間の)連絡体制も、一定の人数で対応しないと、特定の介護支援専門員に負荷がかかるということもある。ある程度、バランスを見ながら、今回、(要件を)若干緩和した形で設定していただいたのかなと思っている」と述べた。
■加算(I)の要件緩和、3年後に向けた課題
厚労省の審議会の議論では、算定月の要介護3~5の利用者を4割以上とする特定事業所加算(I)の要件の見直しを求める声も上がったが、最終的に実現しなかった。柴口会長は「(I)のハードル、その辺も3年後に向けて取り組んでいかなければならないかなと思う」と述べた。