病気や事故、被災などで仕事を休まざるを得なくなった居宅介護支援事業所のケアマネジャーを支援する仕組みを東京都杉並区と杉並区ケアマネ協議会、地元の医師会が共同で導入した。療養や休業を余儀なくされたケアマネの業務を、別の事業所のケアマネが一時的に肩代わりする仕組みで、国内でも極めて珍しい取り組みという。
導入されるのは「緊急時における休業・療養期間中の特別連携」。緊急時に支援しあうケアマネを、あらかじめマッチングしておく取り組みだ。
この仕組みを使う際、まず必要なのは利用者の同意だ。具体的には、マッチングしているケアマネが一時的に業務を肩代わりすることがある点を説明した上で、個人情報の取り扱いなどの同意を得なければならない。
支援期間は最大で2カ月。その間の利用者へのサービス提供は、応援を依頼したケアマネのケアプランに基づいて行われる。業務を肩代わりすることになったケアマネは、依頼元の事業所か、利用者宅でケアプランを確認する。支援期間が2カ月を超える場合は、業務を肩代わりしたケアマネが利用者を完全に引き継ぐ形となる。
業務を肩代わりするケアマネの担当件数は一時的に増えるため、基本報酬の単位数が半減する「逓減制」に抵触する可能性も出てくるが、「この仕組みによって一時的に増えた担当者の数は、逓減制を判定する際にはカウントしません」(杉並区介護保険課)
杉並区では「この仕組みがあれば、居宅介護支援事業所のケアマネが新型コロナウイルスに感染したとしても安心して療養に専念できる。特に小規模事業所にとっては、事業を継続する上でも、利用者へのサービス提供を維持する上でも、極めて有効な仕組みとなる」(介護保険課)としている。