コロナ禍を克服する上で切り札と位置付けられるワクチン。その接種について、ケアマネジャーをはじめとした居宅サービスの関係者と特別養護老人ホームなど施設の関係者の間には、微妙な「温度差」があることが、淑徳大の結城康博教授の調査で分かった。
調査は、今月3日から16日にかけてインターネットで行われ、ケアマネやホームヘルパー、介護施設の職員ら649人から回答を得た。居宅介護支援事業所のケアマネは239人が回答した。
ワクチン接種の意向を尋ねたところ、どの職種でも「接種する」と答えた人(※注1)が8割前後となった。
施設(※注2)の職員では「積極的に接種する」と答えた人が52.6%と半数を超えた。「様子を見てから接種する」は34.2%だった。
一方、ケアマネで最も多かったのは「様子を見てから接種する」(51.0%)。「積極的に接種する」と答えたケアマネは28.0%にとどまった。ヘルパーでも「様子を見てから接種する」が51.9%となり、「積極的に接種する」(25.5%)を大きく上回った。
ワクチン接種について、施設と居宅サービスの介護従事者の間に微妙な“温度差”が生じている理由について結城教授は、介護従事者の中でも施設の関係者は優先接種の対象になっている一方、ケアマネやヘルパーはその対象になっていない点に注目。「そうした施策が接種の意向に影響したのではないか」と分析した。
さらに施設関係者のみが優先接種の対象者となっている点については「在宅でも感染リスクが高い環境で仕事をする人もいる。在宅系サービスをひと括りにして、優先接種の対象外とする判断は誤り」と指摘。特に2度の緊急事態宣言が出た首都圏などでは、ケアマネやヘルパーも優先接種の対象とすることができるよう、自治体がより柔軟に判断できる仕組みも導入すべきとしている。
(※注1)「積極的に接種する」と「様子を見てから接種する」の合計
(※注2) 特養や老健、介護医療院、グループホーム、サ高住、有料老人ホーム、養護・軽費老人ホームなどで働く介護従事者。職種は問わない。