厚生労働省は来年春の介護報酬改定で、訪問介護の利用が基準を上回った場合、点検・検証する仕組みを導入する方針だ。2日の社会保障審議会介護給付費分科会で、改めて示した。
訪問介護のうち生活援助については、1カ月あたりの利用回数が国の定める回数を上回ると、ケアプランを自治体に提出しなければならない。届け出を受けた自治体は、医療・福祉の専門家が集まる地域ケア会議などで検証し、必要に応じて、生活援助サービスの回数やケアプラン全体の再検討を促す。
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しかし、財務省は、来年春の介護報酬改定に向けた提言で「届け出を避けるため、訪問介護の『生活援助サービス』から『身体介護サービス』への振替が指摘されている」と言及。身体介護も含めた訪問介護に、ケアプラン届け出の基準となる利用回数を設けることを求めた。
■基準を超えたプラン、事業所単位で抽出して点検・検証へ
この提言も踏まえ、厚労省は、訪問介護に点検・検証のための基準を設ける方針を固めた。具体的には「区分支給限度基準額の利用割合が高く、かつ、訪問介護が利用サービスの大部分を占めるケアプラン」を作成した居宅介護支援事業者を事業所単位で抽出し、点検・検証する仕組みの導入を目指す。区分支給限度基準額の利用割合などについては、年度内には提示する見通しだ。
厚労省の方針に対し、同分科会の鎌田松代委員(認知症の人と家族の会理事)は「(生活援助だけでなく)ホームヘルプの抑制を目指す方針には反対」と述べ、導入を問題視する姿勢を示した。しかし、介護の職能団体や事業者団体の委員からは、強い反対意見は出なかった。