ケアマネジャーの担当件数が40件を超えると、超えた分の基本報酬の単位数が低くなる逓減制。厚生労働省は26日、社会保障審議会介護給付費分科会に、事務職員を配置したり、ICTを活用したりした場合、逓減制の適用を45件からとする緩和案を示した。
逓減制については、日本介護支援専門員協会が、介護保険制度が誕生したころと比べてケアマネの技能が向上した上、ICT技術なども進歩しているとし、見直しを求めていた。さらに苦しい経営状況に置かれている居宅介護支援を支援するためにも、逓減制が適用される件数を引き上げるべきとする声が現場関係者の間から上がっており、同分科会でも、緩和に向けた議論が行われていた。
26日、厚労省は、ICTを活用している居宅介護支援事業所では、そうでない事業所と比べて、研修の受講時間などは長いのに、ケアマネの労働時間は短く、担当する件数も多いとするデータを提示。事務職員を配置している事業所でも同様の傾向が見られたとした上で、ICTを活用する事業所や、事務職員を配置する事業所については、逓減制の適用を45件からとする緩和案を示した。
想定されるICTの活用例としては「事業所内外や利用者の情報を共有できるチャット機能のアプリを備えたスマホ」や「訪問記録を随時記載できる機能のソフトを組み込んだタブレット」などを挙げた。
また改正案では、逓減制の適用が45件からとなった事業所が特定事業所加算を算定する場合、その要件の一部も変更する方針も示した。具体的には、ケアマネ1人当たりの利用者数を40名未満と定めた要件を、逓減制の適用の緩和に合わせて見直すとしている。
一方、ICTを活用していない事業所や、事務職員を配置していない事業所については、現行制度通り、40件から逓減制を適用する仕組みを維持するとした。
同日の分科会では強い反対意見を述べた委員はいなかった。厚労省が示した緩和案は、来年春の介護報酬改定にあわせて導入される見通しだ。