ケアマネと薬剤師の連携で残薬が改善 薬剤師会の学術大会で優秀賞に

茨城県古河市の古河薬剤師会と県介護支援専門員協会・古河地区会が2018年10月から行っている薬剤師とケアマネジャーによる服薬管理の取り組みが、このほど札幌市で開かれた「第53回日本薬剤師会学術大会」のポスター発表で優秀賞に輝いた。今年3月までの間、薬剤師とケアマネが継続的に服薬状況を管理した利用者243人については、残薬が統計的に有意に改善されるなど、両者の連携の重要性が改めて示される結果となった。

この取り組みには、古河市内にあるすべての薬局が参加。同市内の居宅介護支援事業所15カ所の全利用者を対象に、1期(18年10月~19年3月)、2期(19年4月~9月)、3期(19年10月~20年3月)の半年ごとに実施された。

連携の際にケアマネが使用したのが「在宅服薬気づきシート」=図=。残薬や複数医療機関の受診など6つのチェック項目で、薬剤師によるアセスメントが必要かどうかを調べ、「あり」や「はい」などにチェックが入ると、ケアマネから利用者の「かかりつけ薬局」にファクスする。薬の飲み合わせなどは薬剤師でなければわからないため、問題の発見につながる可能性がある情報をケアマネが提供し、リスクの高い利用者をあぶり出そうというわけだ。



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ケアマネから連絡を受けた薬剤師は、シートの情報を基に利用者のアセスメントを行い、その結果をケアマネにフィードバックする。そしてケアマネは、薬剤師のアセスメントの結果を必要に応じてケアプランに反映させ、服薬状況に問題がある場合は、解決に向けて両者がタッグを組む。利用者の生活情報の収集はケアマネ、薬の問題の解決は薬剤師と、それぞれの専門性を発揮することで、服薬状況の改善につなげる。

ケアマネの情報収集力が問題解決に生きる

シートを活用してケアマネが服薬状況をチェックした利用者の数は、1~3期でいずれも1400人を超え、このうち931人に対しては、3期連続でチェック作業が行われた。そして931人中257人に関しては、1期目の段階で薬局側にシートが送られ、薬剤師はその内容を基にアセスメントを実施した。

この事業に協力している北海道科学大薬学部の山下美妃教授が、この257人について分析したところ、薬の飲み忘れや飲みにくさ、理解不足といった問題を抱える人の数は、1~3期で減少傾向が見られた。さらに、残薬の項目で「不明または判断できない」にチェックが入った14人を除く243人に関しては、残薬の状況が統計的に有意に改善された。

ポスター発表を行った同薬剤師会の宇田和夫副会長は、「地域包括ケアシステムの中で、薬剤師とケアマネが連携する重要性は指摘されているが、地域単位での取り組みは少ない。ケアマネには情報収集力がある。その情報を専門職につないでもらうことで、利用者の問題解決につながる。そのことを証明する一つのデータになったと思う」と話す。

介護支援専門員協会は、この取り組みの成果を日本介護支援専門員協会に報告。これを受けて同協会は9月下旬、来年春の介護報酬改定について厚生労働省に要望した際、服薬管理や口腔ケアなどに関する多職種連携をさらに推進するよう求めた。

来年春の改定では、多職種連携のさらなる推進もテーマの一つとなっており、今後の議論の行方が注目される。

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