厚生労働省はケアプランや重要事項説明書、各サービスの計画書などへの利用者の押印・署名を、原則不要とする方針を固めた。9日の社会保障審議会介護給付費分科会で示した。この方針への強い反対意見はなかった。同省では年度内に、押印・署名に代わる具体的な方法を示す予定だ。また、サービス担当者会議などの各種の会議について、テレビ電話などでの実施を認める方針も示した。
利用者宅への訪問が不可欠な押印・署名は、ケアマネジャーをはじめとした介護従事者にとって、大きな業務負担となる場合がある。
そのため、今年7月に閣議決定された「規制改革実施計画」では、ケアプランへの同意について「原本性を担保しつつ、電子署名などの手段による代替を可能とする」ことを検討する方針が示された。
さらに、菅内閣が押印や対面主義からの脱却を推進していることもあり、厚労省は来年春の介護報酬改定にあわせて、ケアプランや重要事項説明書などへの押印・署名を原則不要とする方針を固めた。ルールの実施にあわせ、各種の様式例に設けている押印・署名の欄は削除することも明示した。
利用者の同意を証明する代替案については、政府が6月に示した「押印についてのQ&A」を参考に検討するとしている。このQ&Aでは、契約の成立を証明する手段として、「取引先とのメールのメールアドレス・本文及び日時等、送受信記録の保存」「電子署名や電子認証サービスの活用」などを挙げていることから、ケアプランなどの押印・署名の代替案でも、同様の方法が示される見通しだ。
■サ担など各種会議、「テレビ電話での実施」可能へ
また、厚労省はサービス担当者会議など運営基準や加算の要件で実施が求められる各種の会議について、ICTを使って開くことを認める方針も示した。会議のうち利用者やその家族らが参加するものについては、その同意を得た上で実施するとしている。この方針に対しても、介護給付費分科会の委員から強い反対意見は出なかった。
ただし、モニタリングなど利用者の自宅などを訪れることを前提としている取り組みでのICTの活用については検討事項と位置付け、明確な方針は示さなかった。