来年春の介護報酬改定に向け、介護職員らの労働組合「日本介護クラフトユニオン」(NCCU)は7日、加藤勝信厚生労働大臣に宛てて要望書を提出した。要望書では、介護報酬の引き上げや簡素化などに加え、「生活する上での一連の流れであり、切り離してサービスを行うことは困難だ」として、身体介護と生活援助のサービスの一元化を求めている。
要望書は、▽介護報酬の引き上げ▽簡素で納得できる報酬設計と改定ルールの明確化▽「処遇改善加算」の仕組みの再構築▽身体介護と生活援助の一元化▽介護従事者の確保と定着のための施策の推進▽介護ロボットの活用と推進―の6項目。
このうち、身体介護と生活援助の一元化については、「介護のあるべき姿である、QOL(生活の質)を向上させるためにも、一元的にサービスを行うことは重要であり、ひいては、生産性の向上や介護人材不足の解消にもつながる」などと主張し、サービスの一本化を要請した。
■「処遇改善加算」相当額を基本報酬に
また、介護従事者の処遇改善に関しては、「新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少し、経営の悪化により事業の存続も危ぶまれている介護事業者もある中、現在の介護報酬の水準では処遇を改善することが困難であると言わざるを得ない」などとして、介護報酬の引き上げを求めた。
現行の介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算については、「配分方法は法人の判断に委ねられているため、介護現場からは『配分方法が不透明』『介護職員に行き届いているのか不安』などの声が寄せられている」と指摘。国に対して、介護従事者のあるべき賃金水準を明確に示した上で、両加算に相当する額を基本報酬に組み込み、要件と賃金水準を満たさない場合は減算するなど、仕組みを再構築するよう要望した。