厚生労働省は4日、来年春の介護報酬改定に向けた議論が続く社会保障審議会介護給付費分科会に、すべてのサービスに関わる議題として「感染症や災害への対応力強化」を示した。居宅介護支援など訪問系サービスでは、運営基準の厳格化も焦点となる見通しだ。この日の同分科会では、対応力強化のための取り組みは報酬アップとセットで導入すべきとの声が相次いだ。
特別養護老人ホームなどの介護保険施設では、感染症対策のための委員会の開催や指針の整備などが運営基準によって義務付けられている。だが、居宅介護支援をはじめとした訪問系サービスには、こうした規定はない。=表1=
また、訪問系サービスを除く全てのサービスで、災害に対応するための具体的計画の策定や定期的な避難訓練などが運営基準で義務付けられている。=表2=
厚労省はこうした状況を改めて説明。その上で、すべてのサービスで、災害対応や感染症対策を強化するための具体策の議論を求めた。
特に居宅介護支援などの訪問系サービスについては、対策強化に向け、運営基準の厳格化を想定しているといえる。
また厚労省は、災害発生時などを見据えた業務継続計画の策定促進の具体策についても議論を求めた。
■対策強化、報酬で後押し求める声が続出
4日の同分科会では、感染症対策や災害対策を強化することには異論は出なかった。ただし、その実現は報酬によって後押しすべきとする意見が相次いだ。
濱田和則委員(日本介護支援専門員協会副会長)や伊藤彰久委員(連合生活福祉局長)は、訪問系サービスの運営基準の見直しと報酬アップをセットで実施するよう主張。東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)や齋藤訓子参考人(日本看護協会副会長)も、同様の意見を述べた。さらに、黒岩祐治委員(神奈川県知事)の代理で参加した同県・高齢福祉課長は、感染症対策などに取り組む事業所が算定できる新たな加算を設けることを提案した。