介護老人保健施設の入所期間は、老健と居宅介護支援事業所のケアマネジャーが、利用者の入所前に連携することで短くなっている―。厚生労働省は先月27日に開いた社会保障審議会介護給付費分科会で、こうした現状認識を示した。この日は議論にはならなかったが、今後、来年春の介護報酬改定に向けた論点の一つとして浮上する可能性が出てきた。
オンラインで行われた分科会
厚労省は同日、同省の委託で全国老人保健施設協会(全老健)が行った調査の結果を提示。回答のあった948施設の退所者4436人について、退所後のケアプランを作成した居宅介護支援事業所のケアマネとの連携のタイミングを調べたところ、「退所前1カ月以内」が45.4%で最も多く、次いで「入所前」(37.9%)などと続いた(複数回答)。
また、ケアマネと入所前に連携していた場合の平均入所期間は116.0日で、入所後よりも67.3日短かった。さらに平均入所期間は、居宅介護支援事業所とのカンファレンスの実施回数が多いほどが短くなり、「0回」(172日)と「1回」(155日)を比べても、17日の差が見られた=グラフ=。
この結果を踏まえ、同省は「居宅ケアマネと入所前に連携した場合、それ以降に連携した場合と比較して入所期間が短かった」との現状認識を示した。日本介護支援専門員協会副会長の濱田和則委員は、「入所中も継続的に連携することで、早期の退所や在宅復帰が促進されている」と指摘し、さらなる連携の必要性を強調した。