「ケアマネがいたから介護保険は20年続いた」-柴口会長・特別インタビュー 前編

今年、「介護支援専門員」は誕生から20年を迎えた。20年間のケアマネジャーの歩みは、この国に何をもたらしたのか。また、不透明さと不確実さを増す今後の日本社会で、ケアマネが果たすべき役割は何か―。日本介護支援専門員協会の柴口里則会長に聞いた。

―今年、ケアマネは「成人式」を迎えました。この20年間、ケアマネは日本社会でどんな役割を担い、何をもたらしたとお考えですか。

端的にいえば、ケアマネがいたからこそ、介護保険制度が今の形で20年間存続しえたのだと思っています。


―ずいぶんと…
思い切った見方と思いますか?私は決してそうは思いません。その点は、ケアマネがいなければどうなるかを想像してもらえば、わかりやすいと思います。

介護保険サービスは26種類54サービスあります。もし、ケアマネがいなければ、利用者はこの多様で複雑なサービスを自分で直接調べた上で選択しなければなりません。さらに、それぞれの事業者に連絡し、契約する作業もあります。もちろん、ケアプランも自分で作らなければならないし、各事業者への支払いだって、自分でやらなければならない。いずれも、確かな専門知識と相当な時間を必要とする作業です。

専門の研修も受けていないのに、この作業を円滑にこなせる人が、世の中にどのくらいいるでしょうか。

―ほとんどいない、というのが実情でしょうね。
でも、それができなければ契約を前提とした介護保険サービスを利用することはできません。

つまり、ケアマネがいなければ「サービスがあっても、ほとんどの人が使うことができない」状態になってしまう。そんな状態になった公的な保険制度が、いつまでも維持されるはずがありません。どこかのタイミングで行政が使うサービスを一方的に決める「措置の時代」に逆戻りしていたのではないでしょうか。

介護保険を支え続けてきたケアマネですが、その活動が社会にもたらした副産物としては、他に何が挙げられますか。
大きな副産物といえるのが、いわゆる「8050問題」や家庭内での高齢者への虐待、望まない形で社会から孤立していく高齢者の存在が、明らかになったことでしょう。こうした問題は、利用者の家に定期的に出向く人がいないと、なかなか表面化しませんから。

介護保険の維持だけでなく、日本社会の根底にわだかまる問題にも光を当ててきたと言えるわけですね。そんなケアマネも高齢化が進んでいます。特に制度発足からがんばっている「第1世代」のケアマネの中には、70歳代になった人もいて、その高齢化が課題になり始めていると思うのですが。

ケアマネが全体的に高齢化しているのは間違いないでしょう。でも、高齢化したことが課題とは思っていません。

―どういうことでしょうか。
ケアマネという仕事には定年がないからです。確かな判断力とコミュニケーション力、そして常に情報を更新し続ける適応力さえあれば、何歳になってもできる仕事ですよ。課題があるとすれば、高齢化というより、より高い適応力が求められるようになったという点ではないでしょうか。

―確かに複雑化する制度改正に適応し続けるには、かなりの努力が必要です。
その通りです。ですが、求められるのは制度への適応だけではありません。ICT化やAIへの適応も求められます。この点、介護保険が誕生したころに比べて、適応のハードルはぐっと高くなっているといえるでしょう。20年前はスマートフォンなんてありませんでしたから。

とにかく、20年間で利用者も社会も大きく様変わりしたのです。ケアマネも、そこを理解し、しっかり対応していかなければなりません。

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