生活援助サービスの利用回数が国の基準を上回るケアプランの届け出について、制度が始まった2018年10月からの1年間に届け出のあった自治体は全体の65.9%に上り、平均の届け出件数は5.6件だったことが、厚生労働省の調査でわかった。人口5000人未満の自治体(広域連合を除く)で届け出のあった割合は21.5%にとどまり、人口規模によって届け出の状況が異なる実態が浮き彫りとなった。
調査は、同省の委託を受けた三菱総合研究所が行ったもので、すべての市区町村と広域連合(計1572カ所)を対象に、2018年10月~翌年9月のケアプランの届け出状況などを調べた。回答率は63.2%(994カ所)。
期間中、ケアプランの届け出があった自治体は655カ所(65.9%)。件数は「1件」(151カ所)が最も多く、次いで「10件以上20件未満」(107カ所)、「6件以上10件未満」(101カ所)などと続いた。平均件数は5.6件だった。
これを人口規模別で見ると、人口1万人以上の自治体では6割以上で届け出があり、中核市(100%)と政令市(93.8%)で9割を超えた。平均件数は、政令市の50.6件がトップだった。一方、人口5000人未満の自治体で届け出があったのは21.5%にとどまり、平均件数は0.6件だった。
全体の6割近くは、居宅介護支援事業所に対して、ケアプラン以外の書類の提出を求めていることもわかった。具体的な中身を複数回答で尋ねたところ、トップは「訪問介護が規定回数を超える対象者届け出書」(78.6%)で、以下は「アセスメントシート(課題分析表)」(65.4%)、「サービス担当者会議の記録」(59.4%)などの順。
届け出があったケアプランの主な検証方法としては、「地域ケア個別会議(名称は問わない)で検討」(37.3%)が最多だった。
ケアプランの再考を促す際の根拠として最も多かったのは、「サービス内容が目標達成のために適切であるかどうか」(68.6%)で、次いで「生活行為の課題が的確に把握され、分析されているかどうか」(68.2%)、「代替案や効率的なサービス提供ができる方法を検討しているかどうか」(61.2%)などと続いた(複数回答)。
■ケアマネ同席せず「再考」判断も
期間中の届け出件数の合計は5576件で、全体の約4分の1にあたる1442件では、既に地域ケア会議での検証が終わっており、このうち55.6%(801件)については、ケアプランを再考する必要がないと判断された。
一方、2218件に関しては、地域ケア会議以外で検証が行われていたことがわかった。このうち、31.3%にあたる694件でケアプランの再考が促されていたが、ケアマネジャーが同席しない場で検討が行われた結果、再考の必要性が判断されたケースが「あった」と回答した自治体は、全体の6.8%を占めた。
地域ケア会議やそれ以外の場で再考を促した後、ケアプランが変更される事例があった自治体は157カ所。具体的な内容としては(複数回答)、「生活援助中心型の訪問回数が削除された(その他の変更なし)」(42.0%)が最も多く、次いで「生活援助中心型の訪問が身体介護中心型に見直された」(38.2%)などと続いた。