新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、2カ月余り中断していた次の介護報酬改定に向けた議論が再開した。1日、社会保障審議会介護給付費分科会は同分科会としては初となるオンライン会議を開いた。この日、厚生労働省は、高齢者が住み慣れた地域で少しでも長く生活し続けるため、在宅サービスにどのような改善や工夫が求められるかなどを議題として提示。委員からは、地域密着型サービスの拡充を求める声が上がったほか、限られた人材を有効に活用するため、各サービスに定められた専従要件などを見直すべきとする意見も出た。
1日の同分科会は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためオンラインで実施され、一般傍聴席も設けられなかった。議論の内容は、動画共有サービス「Youtube」によって、リアルタイムで配信された。
(オンラインで開かれた介護給付費分科会)
この日、厚労省が示した議題は、「地域包括ケアシステムの推進」。特に、高齢者の「在宅限界」を高めるための在宅サービスの在り方や、高齢者向け住まいにおける取り組み、認知症への対応力を向上するための取り組みについて議論を求めた。
この議題に対し、今井準幸委員(民間介護事業推進委員会代表委員)は、地域密着型サービスのような、包括報酬で複合的なスタイルを持つサービスの拡充が必要と指摘。岡島さおり委員(日本看護協会常任理事)は、地域密着型サービスの中でも、特に看護小規模多機能型居宅介護の整備の促進が必要とし、そのためにも人員基準の見直しなどが必要と述べた。
小泉立志委員(全国老人福祉施設協議会理事)は、限られた人材を有効活用しつつ、地域密着型サービスのような複合的なスタイルのサービスを拡充するためには、その専従要件を見直す必要があるとした。また、安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、人材不足に対応する上でも「分散しているサービスを集約していく必要がある」と訴えた。