新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、厚生労働省は来年4月の介護報酬改定に向け、審議会のオンライン開催を検討している。24日には、診療報酬について審議する中央社会保険医療協議会(中医協)で、史上初となるYouTubeチャンネルを活用したライブ配信を行う予定で、こうした動きは介護にも広がりそうだ。
介護報酬改定をめぐっては、社会保障審議会介護給付費分科会が議論の“主戦場”となる。委員は総勢25人。医療・介護、保険者、自治体、介護者のそれぞれの関係団体の代表者、学識経験者らが名を連ね、ケアマネジャー関連では、日本介護支援専門員協会の濱田和則副会長が参加している。
感染拡大を防ぐため、同省は先月16日と26日に会合を開いた際、一般傍聴席を設けず、対象をメディア関係者に限定した。密集しないよう席の間隔を広く取り、入場時、傍聴者にアルコール消毒を求めるなどの対策も講じた。
メディア関係者のみに公開された先月16日の分科会
政府は今月7日、東京や大阪などの7都府県に緊急事態宣言を発令し、企業に対して在宅勤務を行うよう要請。その後、対象は全都道府県へと広がった。
同省は、同宣言が発効となった8日、中医協のオンライン開催を実施。10、17の両日には、書面で意見を求めて了承を得る「持ち回り開催」も行った。政府が外出の自粛を促す中、新型コロナウイルス関連の審議を速やかに進めるためだった。
オンライン開催、持ち回り開催、YouTubeチャンネルでのライブ配信はいずれも、70年の歴史を持つ中医協史上初の試み。こうした取り組みは、介護報酬改定の議論にも影響を与えそうだ。
■今月の給付費分科会は延期
2018年度の介護報酬改定時の審議を振り返ると、介護給付費分科会は前年5月から翌年1月まで、毎月少なくとも2回開かれた。新型コロナウイルスの感染拡大に収束の兆しが見えない中、在宅勤務や外出自粛を継続せざるを得ない状況はしばらく続くとみられる。
同分科会では次回以降、事業者や関係団体へのヒアリングも行いながら、改定全体の方向性について意見を交わした後、秋頃から具体的な改定内容の検討に入る見通しだ。ケアマネにとっては、処遇改善の行方が焦点の一つとなる。
同省老健局老人保健課の担当者は取材に対し、「今月の開催は延期となるが、来月以降、オンラインでの開催ができないか検討している」と話した。