「要介護度 ばらつく認定」―。要介護認定の公平性を疑問視した日本経済新聞の一面記事が物議を醸している。記事は、日本介護支援専門員協会が、自治体独自の認定基準を容認するかのような印象を与える内容だが、同協会は「要介護認定は国の示す要綱等に基づき、全国一律の考え方で実施されるべきものだと考えている」として、強い遺憾を示している。
物議を醸している7日付朝刊の日経の一面記事
問題となっているのは、今月7日付の朝刊一面で掲載された記事。日経側は、厚生労働省への情報公開請求で、2018年10~11月に100件以上審査した904市区町村のうち、892市区町村が、認定審査会で一次判定の結果を変えていたと指摘。変更した割合が高い自治体では、末期がん患者の要介護度を一律で上げたり、家族介護を見込める場合は逆に下げたり、介護の手間を基準とした国の指針に反する事例があったと主張した。
その上で「自治体が独自基準を設けてもおかしくない」とする同協会の濱田和則副会長の発言を引き合いに出し、同協会が、自治体独自の認定基準の存在を肯定するかのような印象を与えていた。
■柴口会長「認定は全国一律の考え方で」
これに対して、同協会の柴口里則会長は9日、ホームページ上で抗議声明を発表。濱田副会長の発言に関しては、「当協会は本件について正式に取材を受けておりません。また記事にあるような趣旨の発言もしておりません」と否定した。
要介護認定については、「国の示す要綱等に基づき、全国の一律の考え方で実施されるべきものだと考えている」とする同協会側の見解を示した上で、日経の記事に対して強い遺憾を表明。濱田副会長の発言の根拠などを示すよう、日経側に質問票を送ったとして、今後、改めて結果を報告するとした。
日経の報道をめぐっては、昨年11月にも、ケアマネジャーの中立性を問題視した記事の内容について、同協会側が抗議文を送っている。