一年で最も寒さが厳しい時期を迎え、消費者庁は、電気ストーブや電気こたつによる火災に注意するよう呼びかけている。同庁によると、2014~18年に火災で死亡した人の数は、電気ストーブが302人、電気こたつが28人で、いずれも65歳以上が8割以上を占める。同庁では、「布団や座布団、座椅子をこたつの中に押し込まないようしてほしい」としている。
14~18年に発生した火災の件数は、電気ストーブが2442件、電気こたつが192件で、18年だけでも、合計493件起こっている。月別の発生件数を見ると、電気ストーブは1月にピークを迎え、電気こたつは12月から翌年4月頃まで多い傾向にある。
この5年間で死傷した人は、電気ストーブが負傷者1071人、死亡者302人、電気こたつが負傷者108人、死亡者28人。死亡者の数を年齢別で見ると、65歳以上の割合が高く、人口10万人当たりでは、電気ストーブの8割以上、電気こたつでは9割以上に上る。
消費者庁に寄せられたヒヤリ・ハット事例からは、使用上のちょっとした不注意が、重大な火災につながりかねないことがわかる。
昨年2月に発生したケースでは、電気こたつのスイッチを入れてから10分ほどで中に入ろうとしたところ、既にこたつ布団が焦げていた。この家に住む男性は「妻は足が悪いので、つまずかないようにと、こたつ布団はいつも卓の中に入れている」と話したという。
また、一昨年2月に起こった別の事例では、「こたつのスイッチを『強』に入れたら1時間も経たないうちに、座椅子を焦がしてしまった」との声も。消費者側は「座椅子がこたつの中で傾き、ヒーターユニットの部分に接触していたのではと思うが、長時間使用していたわけではない」という。
電気ストーブと電気こたつに共通する主な注意点として、同庁では、▽就寝時や外出時などは電源を切り、電気プラグをコンセントから抜く▽洗濯物の乾燥などには使用しない▽スプレー缶やライターなどを近くに置かない▽ヒーター部分にほこりやごみが付着したまま使用しない―の4点を呼び掛けている。
同庁の担当者は「特に高齢者の方は、就寝前に電気ストーブを近くに置いたり、洗濯物を乾燥させたりしている方が多い。ぜひ注意して使用してほしい」と話している。