宿舎も悩み相談も、国が支援します―。厚生労働省は、介護職員向けの宿舎建設の補助や悩み相談の窓口の設置を、都道府県の「地域医療介護総合確保基金」(基金)のメニューに加える方針を示した。いずれも介護人材の確保・定着が目的。17日、全国厚生労働関係部局長会議で明らかにした。
宿舎建設の補助は、特別養護老人ホームなどの介護保険施設やグループホーム、小規模多機能型居宅介護、特定施設入居者生活介護の指定を受けた介護付きホームなどの事業者を対象とする。補助率は整備費用の3分の1。補助を受ける要件として、「介護職員1人あたりの面積は33平方メートル」「宿舎の家賃は、近隣の宿舎などに比べて安くする」が示されている。補助は2023年度まで実施する予定だ。
悩み相談の窓口の設置は、都道府県が行う。具体的には業務の経験が長い介護福祉士や心理カウンセラーなどを配置。面談や電話、メールなどで相談を受け付ける。内容が事業者と介護職員との「労働紛争」である場合は、関連する部局の相談窓口につなぐ。また、利用者から介護職員へのハラスメントであれば、必要に応じて都道府県が介入することも想定している。
20年度の予算案では、介護分の基金として824億円を計上している。17日、全国厚生労働関係部局長会議に出席した老健局の大島一博局長は、基金について「相当、メニューが増えた」と強調。都道府県に対し、その積極的な活用を改めて呼び掛けた。
(基金の積極活用を呼び掛ける大島局長)