介護事業者が自治体に提出する文書に関する事務負担を減らすため、厚生労働省は27日に開いた社会保障審議会介護保険部会の専門委員会で、具体策を盛り込んだ中間報告案を示し、大筋で了承された。行政手続きの早期ICT化を求める声が相次いだことを受け、同省は当初のスケジュールを前倒しし、指定申請などの届け出のウェブ入力については、2020年度中に具体案を検討し、3年以内の実現を目指す方針を示した。
厚労省の中間報告案を大筋で了承した専門委
いわゆる“ローカルルール”の問題が深刻化しているため、厚労省は、文書の様式や手続きの「簡素化」と「標準化」を優先させる方針を示している。それらの問題が解決しないままICT化を急ぐと、介護現場がかえって混乱するとの考えからだ。
だが、これまでの専門委の会合では、ICT化の早期実現を求める意見が相次いでおり、同省は中間報告案で、指定申請と報酬請求の届け出をインターネット上で行うため、20年度中に具体案を検討する方針を新たに示した。
同省が想定しているのが、既存の「介護サービス情報公表システム」の活用だ。同省によると、18年度末時点で、全国の約22万カ所の事業所情報が公表されているという。
高齢者住宅協会が運営する「サービス付き高齢者向け情報システム」では、共通する申請書類に関して、サイト上から行政に提出できるようになっている。同省では、この機能も参考にしながら、技術的な課題や費用対効果などについて検討し、21年度にも「介護サービス情報公表システム」の改修に着手したい考えだ。
さらに、都道府県が所有する事業所情報の管理を行うシステムとの連携の可能性についても併せて検討するとしている。