「ケアプラン有料化」とともに、次の介護保険制度改正に向けた議論で重要な議題となっているのが「利用者負担が2割や3割となる対象者の拡大」だ。これまでの社会保障審議会介護保険部会の議論で、その焦点は「2割負担の対象者を広げるか、現状を維持するか」まで絞り込まれた感がある。そんな中、厚生労働省は65歳以上の所得分布に関するデータを社会保障審議会介護保険部会に示し、具体的な検討を促した。
先月27日、同省は介護保険部会に改めて「利用者負担が2割や3割となる対象者の拡大」を検討課題として提示。その際、次の表を併せて示した。
表からは、65歳以上の人全員に対し、2割負担の対象者が約20%いることや、3割負担の対象者が約10%いることなどが見て取れる。ただし、この表が示しているのは「合計所得金額が60万円~70万円」かつ「年金収入+その他の合計所得金額が180万円~190万円」の分布まで。65歳以上の人の半分以上の所得分布が分からない、中途半端なデータとなっている。
同省は、この表を10月の同部会で参考資料として提示。さらに先月27日の同部会では、「利用者負担が2割や3割となる対象者の拡大」に関する議論の概要を説明した上で、表を制度の施行状況を知るためのデータとして紹介した。
こうした経緯を思えば、同省は新たな2割負担の基準額の検討範囲について、表を通じて暗示したと考えられる。
つまり、「新たな基準を設けるなら、『合計所得金額が60万円~70万円』かつ『年金収入+その他の合計所得金額が180万円~190万円』と、現在の基準額の間のどこかで決めてはどうか」と、暗に提案していると考えられるのだ。
(社会保障審議会介護保険部会)
先月27日の同部会では「利用者負担が2割や3割となる対象者の拡大」について、委員の間で賛否は分かれたままだった。ただし、拡大を支持する委員からも、3割負担の対象者を増やすべきとする意見は出なかった。また、拡大を支持する委員の中では、「2割負担を原則とするのが難しいのであれば、(65歳以上の人全体の)20%である2割負担の対象者を、30%まで増やすべき」(安藤伸樹・協会けんぽ理事長)との声も上がった。