厚生労働省は14日、次の介護保険法改正に向けた議論が進められている社会保障審議会介護保険部会に、要介護認定を更新した際の有効期間を最長で4年まで延長することを提案した。強い反対意見はなく、案は大筋で了承された。
現在、更新認定の有効期間の上限は36カ月。厚労省の案では、更新後も要介護度に変化がない場合、その上限を48カ月に延長するとしている。一方、新たに認定を受けた人や、要介護度が変更となった人の有効期間の上限は延長しない。
提案の狙いは、認定に関する業務負担の軽減と、申請から認定までの期間の短縮だ。
高齢者の増加に伴い、申請した人が要介護認定を受けるまでの期間は長期化している。介護保険法では、原則として申請から30日以内に認定を行うとしているが、2015年度の認定までの平均期間は39.4日だった。
こうした状況を踏まえ、昨年4月には更新認定の有効期間の上限を24カ月から36カ月に延長することや、介護認定審査会の審査を簡素化するなどの対策が講じられた。
しかし、昨年度の認定までの平均期間は39.8日。対策が講じられる前とほとんど変わっていない。その上、今後も介護が必要な高齢者は増加することが見込まれる。そのため厚労省は認定の有効期間の上限を、さらに延長することを提案した。併せて介護認定審査会の審査をより簡素化するための検討にも乗り出すとしている。
(社会保障審議会介護保険部会)
この提案に対し、強い反対意見はなかった。ただし、既に施策を講じているにも関わらず、認定までの期間が短縮されていない点に注目し、「根本的に介護認定審査会の審査の仕組みを見直すべき」との意見を述べる委員もいた。
■認定調査員、ケアマネ以外に拡大も提案
また厚労省は、介護サービスが必要かどうかを聞き取る認定調査員の対象職種を拡充する案も示した。現在、認定調査員は市区町村職員か、委託されたケアマネジャーに限られるが、案では、ケアマネの基礎資格などを参考に対象職種を拡大するとしている。具体的には、看護師や社会福祉士、介護福祉士などが対象となると見込まれる。この提案に対しても、強い反対意見は出なかった。