介護関連ベンチャーのウェルモ(福岡市)は23日、千葉市の幕張メッセで開幕した介護の展示会「第2回地域包括ケアEXPO」で、ケアプラン第2表の作成を支援するAI(人工知能)の試用版(ベータ版)を初めて一般公開した。
同社のAIのコンセプトは、介護福祉士や看護師、理学療法士など、基礎資格によって異なるケアマネジャーの知識や経験の差をなくすこと。これを実現させるため、同社では、数万件に上るケアプランのデータだけでなく、さまざまな職種の参考書などもAIに学ばせている。
試用版のAIは、アセスメント情報が記録されたエクセルファイルを読み込むと、類似のアセスメントデータの中から、まず「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」の候補を提案。ユーザーが選択肢を選ぶと、その結果に基づいて「長期目標」の候補が示され、それが決まると「短期目標」の候補、その次は「サービス内容」の候補といったように、第2表の項目順に候補が提案される仕組みだ。
ふさわしい選択肢がない場合、ユーザーが文字を入力すると=写真=、AIはその内容に沿って次の項目の候補を提案する。
初めて一般公開されたAIの試用版(ウェルモ提供)
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AIはまた、読み込んだアセスメント情報を基に、例えば、アルツハイマー型認知症の介護の注意点といった医療関連の知識や、ケアプランの参考事例も示してくれる。このため、ケアマネが医療を苦手としていたり、うっかり事例検討の内容を思い出せなかったりした場合などに、AIから助言を得ることもできるという。
同社では、来年夏の発売を目指しており、今後、介護ソフトとの連携について検討するほか、保有する事業者のデータベース(現在は約1万4000カ所)を活用し、AIが地域のサービス事業者を提案する機能も加えたい考えだ。
担当者は「AIは、ケアプランの正解を出すのではなく、あくまで仕事のアシストをするだけ。ケアマネの業務負担をできるだけ減らし、相談援助の仕事に集中できる環境をつくりたい」としている。展示会は25日まで。