厚生労働省は、台風19号によって東日本の広い地域に被害が出ていることから、介護保険サービスの入所定員や人員配置などに特例措置を講じることを求めた事務連絡を、都道府県や政令指定都市などに発出した。居宅介護支援については、担当する利用者が一時的に40人を超える場合でも報酬を減額しない方針などが示されている。
台風19号の暴風雨により、宮城や福島、神奈川、長野など東日本の各地で、多数の死者・安否不明者が出た。また浸水による特別養護老人ホームや病院の孤立も各地で相次いだ。
この状況を踏まえ厚労省では、介護報酬について緊急対応を求める事務連絡を発出した。
■特定事業所集中減算の不適用なども
災害の影響で居宅介護支援事業所が「やむを得ず、一時的に40件を超える利用者を担当する」場合は、40件を超える部分についても介護報酬を減額しないことができるとした。また、災害によって利用者宅への訪問などが難しくなり、基準通りの運営が困難な場合も「居宅介護支援費の減額を行わないことが可能」としている。さらに、地域内の介護保険サービス事業所が被災し、閉鎖している場合などには「特定事業所集中減算」を適用しないこともできるとした。
■各種加算の要件やサービス提供の場所にも特例
他のサービスに関しては、主に以下の内容が盛り込まれている。
●避難所や避難先の家庭などで生活する要介護者や要支援者に居宅サービスを提供した場合でも、介護報酬の算定は可能
●避難者を受け入れた介護保険施設が静養室や地域交流スペースなど、居室以外の場所でサービス提供などをした場合、従来型の多床室の介護報酬の請求ができる
そのほか、「介護職員処遇改善加算」や「認知症専門ケア加算」「サービス提供体制強化加算」「看護体制加算」、「個別機能訓練加算」などについても、被災によって要件を満たすことが困難になる恐れがあることから、柔軟な対応が可能としている。